フリーズドライは2段階の乾燥を経て完了〜2段階とは?

水を含んだ果物や食材中の水分子は、自由に動ける水分子と、束縛された水分子が存在します。

束縛された水分子とはどういうものでしょうか。

コップに入れた水や、スープ中の水分子の殆どは自由な水分子です。しかし、水分子の中には食材中の成分、例えば、デンプン質、糖質などに鎖でつながれた水分子があります。自由な水分子はフリーズドライでは最初に飛んでいきます。しかし、鎖で繋がれた水分子はなかなか飛んでいけません。この鎖を切るためには、温度を上げる必要があります。

たとえば砂糖をフライパンに入れて加熱していくと、ぷくぷくと泡が出たかと思っていると急に焦げてカラメルになりますよね?茶色くなってしまいます、これは糖分に強く結合していた水分が熱で飛んでいくためです。ここまで熱を加えなくても、50〜70℃の温度まで上げると、細い鎖で繋がれた水分子は飛んでいってくれます。

フリーズドライでカリッとするまで糖質が多いフルーツを乾燥するには、加温が必要となります。室温までの温度でフリーズドライ乾燥を行っても、鎖に繋がれている水分が糖質から十分に離れていってくれません。そこで、フリーズドライ乾燥では最終工程で50〜60℃まで温度を上げる場合があります。

医薬品やバイオサンプルでは、加温すると変性してしまうものがあるので、ワクチンなどのフリーズドライでは加温せず、冷たいまま凍結乾燥を完了させます。食品では加温しても悪影響がないので、最後に温度を上げてフリーズドライ乾燥を完了させます。

フリーズドライを行うに当たり、自由な水分子は比較的簡単に、乾燥初期に昇華して飛んでいきますが、鎖に繋がれた水分子は一挙に飛んでいってくれません。だらだらと飛んでいきます。棚温度を上げてもダラダラと水分子が昇華していきます。

フリーズドライにつながった真空ポンプは、通常は5Pa(パスカル)まで装置内の真空度を下げてくれますが、食材を入れ、棚温度を55℃にしても、10〜15Paで真空度がダラダラと推移します。鎖で繋がれた水分子はそう簡単には食材から飛んでいってくれません。ダラダラと飛んでいくので、真空ポンプが劣化して、真空度が高まらないと思ってしまいます。しかし、フリーズドライ装置の中に何も入れずに真空ポンプを働かすと、きちんと高度な真空を形成してくれます。

ブルーベリーなど、糖分が多いフルーツでは乾燥の最終段階でもダラダラと乾燥します。そういうときは妥協して乾燥を終了してみてください。結構、乾燥していますよ。後は出来上がったものを密閉缶や袋に入れて乾燥剤を入れれば商品としても大丈夫です。

真空度の推移は細かく観察していくことが必要です。

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